【親なきあと対策 第11回】 成年後見制度はどう変わる? ~利用しやすい制度へ向けた見直しが進んでいます~

前回は、成年後見制度についてご紹介しました。
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が十分ではない方を法律的に支援する大切な制度です。
一方で、
「一度利用すると途中でやめられない。」
「専門職が後見人になると費用がかかる。」
「もっと家族が柔軟に関われる制度にならないのか。」
このような声が多く寄せられてきました。
こうした課題を受けて、現在、成年後見制度は見直しが進められています。
今回は、その方向性についてご紹介します。

成年後見制度が抱えている課題

成年後見制度は、本人を守るための制度として大きな役割を果たしています。
しかし、利用者やご家族からは、これまで次のような課題が指摘されてきました。

一度始めると原則として終わらない

現在の成年後見制度は、一度後見が始まると、本人の判断能力が回復しない限り終了しません。
例えば、
相続手続きだけのために成年後見人が必要になった場合でも、その後も後見が続くことになります。
そのため、
「相続が終わったので終了したい。」
と思っても、原則として終了することはできません。
これが利用をためらう理由の一つとなっています。

必要以上に利用期間が長くなることも

例えば、
・遺産分割協議
・不動産の売却
・施設入所の契約
など、一定の手続きだけ支援が必要なケースもあります。
しかし現在は、その手続きが終わっても成年後見が継続する場合があります。
「必要な時だけ利用できる制度にならないだろうか。」
という意見が多く出されています。

本人の意思をもっと大切にしたい

これまでの成年後見制度は、
「財産を守る」
という視点が比較的強い制度でした。
もちろん、それは大切なことです。
しかし近年では、
「本人がどのような生活を送りたいのか。」
「本人の意思をできるだけ尊重しよう。」
という考え方が重視されるようになっています。
これは、国連の障害者権利条約の考え方にも沿った流れです。
障害があるからといって、本人の意思が軽視されることがあってはならないという考え方が広がっています。

利用しやすい制度への見直し

現在検討されている見直しでは、例えば次のような方向性が示されています。

必要な期間だけ利用できる制度へ

一定の目的が終われば終了できる制度や、利用期間を見直す仕組みが検討されています。
これにより、
「相続手続きだけ利用したい。」
という方も利用しやすくなることが期待されています。

本人の意思をより尊重する制度へ

本人の希望や生活スタイルを大切にしながら支援を行うことが、これまで以上に重視される方向です。
後見人がすべてを決めるのではなく、
本人の意思をできる限り尊重することが求められるようになります。

必要以上に権限を広げない仕組みへ

現在は、成年後見人に広い権限が与えられることがあります。
今後は、
「必要な支援だけ行う。」
という考え方が取り入れられる方向で検討されています。
本人の自己決定を尊重しながら、必要な部分だけ支援する制度を目指しています。

障害のあるお子さんがいるご家庭への影響

このような見直しが実現すれば、
障害のあるお子さんがいるご家庭でも、
「成年後見制度は使いにくい。」
という印象が変わるかもしれません。
例えば、
・相続の時だけ利用する
・不動産売却の時だけ利用する
・必要な範囲だけ支援を受ける
といった活用が、よりしやすくなる可能性があります。
もちろん、最終的な制度内容については、最新の情報を確認することが大切です。

まとめ

成年後見制度は、本人の権利を守るために欠かせない制度ですが、現在は利用しやすい制度へ向けた見直しが進められています。
今後は、本人の意思をより尊重し、必要な範囲で利用できる制度へと変わっていくことが期待されています。
制度の内容は変わる可能性がありますが、「親なきあと」に備えることの大切さは変わりません。
制度を正しく理解し、ご家庭に合った方法を選ぶことが、お子さんの将来の安心につながります。

次回予告
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近年、社会のデジタル化が進む中で、遺言制度についても見直しが検討されています。
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