【成年後見シリーズ第1回】一人暮らしの高齢者の将来の備え ― 任意後見という選択

事例

Aさん(78歳)は一人暮らしをしています。
配偶者はすでに亡くなっており、子どももいません。

近くに住んでいる甥が、時々様子を見に来てくれていますが、
基本的には自分のことは自分で生活しています。

Aさんは最近、友人が認知症になり、
さまざまな手続きができなくなってしまったという話を聞きました。

その友人は

・銀行の手続き
・介護施設との契約
・自宅の管理

などを自分で行うことができなくなり、
家庭裁判所で成年後見人が選ばれることになりました。

その話を聞いて、Aさんはこう考えるようになりました。

「自分も将来、判断力が落ちたときに、誰が手続きをしてくれるのだろうか」

「身寄りが少ないので、将来が少し心配だ」

問題になりやすいポイント

高齢になり判断能力が低下すると、
次のような手続きが難しくなることがあります。

・銀行の手続き
・介護サービスの契約
・施設入所の契約
・役所の手続き

このような場合、家庭裁判所に申し立てをして
成年後見制度(法定後見)を利用することになります。

しかし、法定後見の場合は、

・家庭裁判所が後見人を選ぶ
・自分で後見人を選べない
・制度が長期間続く

という特徴があります。

行政書士としての提案

このようなケースでは、
任意後見契約を検討することができます。

任意後見とは、
将来判断能力が低下したときに備えて、

あらかじめ信頼できる人を後見人として決めておく制度です。

例えば、

本人・・・Aさん

任意後見人・・・甥

という形で契約を結んでおけば、
将来Aさんの判断能力が低下した場合、
甥がAさんの代わりに

・銀行手続き
・介護契約
・生活に必要な手続き

などを行うことができるようになります。

なぜ家族信託ではなく任意後見なのか

家族信託は、主に

財産の管理

を目的とした制度です。

一方、任意後見は

生活や法律手続き全体を支える制度

です。

今回のAさんのように、

・一人暮らし
・身近な家族が少ない
・生活全体のサポートが必要になる可能性がある

という場合には、

財産管理だけでなく

・介護契約
・施設入所契約
・役所手続き

なども必要になるため、
任意後見の方が適していると言えます。

まとめ

将来、判断能力が低下したときに備える方法として、

・成年後見制度
・任意後見
・家族信託

などがあります。

その中でも任意後見は、

元気なうちに、自分で後見人を決めておくことができる制度です。

一人暮らしの高齢者や将来の生活に不安を感じている方にとって、
重要な備えの一つと言えるでしょう。