【第2回】アパート経営者の認知症対策 ― 家族信託で不動産管理を引き継ぐ

事例

Bさん(79歳)は、小さな賃貸アパートを所有しています。
このアパートは長年経営してきたもので、現在も数世帯が入居しており、家賃収入は老後の生活費として大切な収入になっています。

アパートの管理は管理会社に任せていますが、

・入居者との賃貸借契約の更新
・大きな修繕を行うかどうかの判断
・管理会社との契約
・将来売却するかどうか

についての判断は、Bさん自身が行っています。

しかし、最近、Bさんは物忘れが増えてきたこともあり、

「もし自分が認知症になったら、このアパートはどうなるのだろうか」

と考えるようになりました。

長男は近くに住んでいますが、現在はアパート経営には関わっていません。

問題になりやすいポイント

賃貸アパートの経営は、
単に不動産を持っているだけではなく、さまざまな契約や判断が必要になります。

例えば、

・賃貸借契約の締結や更新
・修繕工事の契約
・管理会社との契約
・不動産の売却

などです。

これらの契約は、原則として本人が内容を理解して判断することが必要になります。

そのため、Bさんが認知症になり判断能力が低下すると、

・契約ができない
・重要な判断ができない

という状態になる可能性があります。

その場合、家族が代わりに手続きをすることは簡単ではありません。

多くの場合、家庭裁判所に申し立てを行い、
成年後見制度を利用することになります。

ただし成年後見制度を利用すると、

・家庭裁判所の監督を受ける
・財産の使い方に制限がある
・不動産の売却に裁判所の許可が必要になることがある

など、柔軟な不動産経営が難しくなる場合もあります。

行政書士としての提案

このようなケースでは、家族信託の活用を検討することができます。

家族信託とは、
自分の財産の管理を信頼できる家族に任せる仕組みです。

例えば、Bさんが元気なうちに

財産を託す人(委託者)・・・Bさん

財産を管理する人(受託者)・・・長男

という形で家族信託の契約を結び、
アパートを信託財産として管理してもらうようにします。

こうしておくことで、将来Bさんの判断能力が低下した場合でも、
長男が信託契約に基づいて

・賃貸契約の更新
・修繕の判断
・管理会社との契約
・不動産の売却

などを行うことができるようになります。

まとめ

賃貸不動産を所有している場合、
認知症によって不動産管理が難しくなることがあります。

家族信託を利用することで、
将来の不動産管理を家族に引き継ぐ仕組みを作ることができます。

特に、

・アパート
・賃貸マンション
・賃貸駐車場

などの不動産をお持ちの方は、
早めに将来の管理方法を考えておくことが大切です。