【成年後見シリーズ第2回】子どもが遠方に住んでいる場合の備え ― 任意後見という選択肢

事例

Bさん(80歳)は、東京都内で一人暮らしをしています。
夫は数年前に亡くなり、現在は自宅で生活しています。

子どもは長男が1人いますが、仕事の関係で大阪に住んでおり、
普段はなかなか会うことができません。

長男は定期的に電話をして様子を確認していますが、
Bさんも年齢を重ねるにつれて、次のような不安を感じるようになりました。

「もし自分が病気になったり、認知症になったりしたらどうなるのだろうか」

「息子が遠くに住んでいるので、すぐに来ることは難しいのではないか」

特に心配なのは、

・介護サービスの契約
・施設入所の手続き
・役所や銀行の手続き

など、自分が判断できなくなったときのことです。

問題になりやすいポイント

高齢になり判断能力が低下すると、
様々な契約や手続きを自分で行うことが難しくなることがあります。

例えば、

・介護サービスの契約
・介護施設への入所契約
・銀行の手続き
・不動産の管理

などです。

こうした手続きは、原則として
本人が内容を理解して契約することが必要になります。

もし本人が判断できない状態になると、
家族であっても自由に手続きをすることはできません。

その場合には、家庭裁判所に申し立てをして
成年後見制度(法定後見)を利用することになります。

しかし、法定後見では

・家庭裁判所が後見人を選ぶ
・必ずしも家族が後見人になるとは限らない

といった点があります。

行政書士としての提案

このような場合には、
任意後見契約をあらかじめ結んでおく方法があります。

任意後見とは、
将来判断能力が低下したときに備えて、
あらかじめ後見人になってもらう人を決めておく制度です。

例えば、

本人・・・Bさん

任意後見人・・・長男

という形で契約をしておけば、
将来Bさんの判断能力が低下した場合、

長男が

・介護サービスの契約
・施設入所の手続き
・銀行手続き
・各種契約

などをBさんに代わって行うことができるようになります。

遠方に住んでいる場合でも、
あらかじめ契約をしておくことで、
必要なときに適切なサポートを受けることができます。

なぜ家族信託ではなく任意後見なのか

家族信託は、主に財産の管理を目的とした制度です。

一方で、今回のようなケースでは、

・介護サービスの契約
・施設入所契約
・医療や生活に関する手続き

など、生活全体に関わる判断や契約が必要になります。

こうした手続きを行うことができるのは、
基本的には成年後見人(任意後見人を含む)です。

そのため、

・生活全体のサポートが必要になる可能性がある
・将来の契約手続きに備えたい

という場合には、
任意後見制度の方が適している場合が多いといえます。

まとめ

子どもが遠方に住んでいる場合、
将来の生活や手続きについて不安を感じる方も多いと思います。

任意後見契約を利用することで、

・信頼できる家族に将来のサポートをお願いする
・判断能力が低下したときの備えをしておく

ことができます。

元気なうちに準備をしておくことが、
将来の安心につながります。