【相続・遺言 第27回】小規模宅地の特例について

相続税対策の中でも、最も効果が大きいのが小規模宅地の特例です。
土地の評価額を最大80%減額できる非常に強力な制度です。

■ 全体像
小規模宅地の特例は、大きく3つに分かれます。

① 特定居住用宅地(自宅)
② 特定事業用宅地(事業用)
③ 貸付事業用宅地(アパート等)

■ ① 特定居住用宅地(自宅)
内容…被相続人が住んでいた自宅の土地
減額割合…80%減額
面積上限…330㎡まで

具体例
・土地評価額:5,000万円
・適用後:5,000万円 × 20% = 1,000万円
 →4,000万円の圧縮

主な適用要件
・配偶者が取得 → 無条件でOK
・同居親族が取得 → 申告期限まで居住・所有すること
・別居親族(いわゆる家なき子)→ 持ち家がない等の厳しい要件あり

■ ② 特定事業用宅地(自営業など)
内容…被相続人が事業に使っていた土地(店舗・工場など)
減額割合…80%減額
面積上限…400㎡まで

具体例
・店舗土地:6,000万円
 6,000万円 × 20% = 1,200万円
 → 4,800万円減額

主な要件
・相続人が事業を引き継ぐ
・申告期限まで事業継続
※廃業すると適用不可になる

■ ③ 貸付事業用宅地(アパートなど)
内容…賃貸不動産の敷地
減額割合…50%減額
面積上限…200㎡まで

具体例
・アパート土地:4,000万円
 4,000万円 × 50% = 2,000万円
 →2,000万円減額

主な要件
・賃貸事業を継続
・申告期限まで保有
※「相続直前に貸しただけ」などは否認リスクがある

■ 特例の併用について
 複数の宅地がある場合、併用できますが制限があります。

代表的なパターン
・自宅(330㎡・80%)+賃貸(200㎡・50%)
→併用OK

・事業用(400㎡・80%)+自宅
→調整計算あり(どちらを優先するか検討が必要)

■ よくある失敗例
✓別居の子が自宅を相続 → 要件満たさず適用不可
✓申告期限前に売却 → 特例不可
✓名義や利用状況の認識ミス
※数千万円単位で税額が変わるため、要注意です。

■ 現金と土地の比較
 例えば
 ・現金:5,000万円 → そのまま課税
 ・土地:5,000万円→ 小規模宅地適用後は 1,000万円になる(▲4,000万円)
 ※つまり土地の評価を大きく圧縮できる=相続税が激減

■ まとめ

小規模宅地の特例は
・自宅 → 80%減(330㎡)
・事業用 → 80%減(400㎡)
・賃貸 → 50%減(200㎡)

そして、最も重要なのは「誰が取得するか」「その後どう使うか」であって、
分け方を間違えると使えるはずの特例が使えなくなるということです。

次回は、「配偶者の税額軽減」について解説します。