【相続・遺言 第26回】相続税評価(特に不動産)~なぜ実際の価格と違うのか?~

相続税の計算で、多くの方が驚くのが「不動産の評価額が思ったのと違う」ことです。
実は、不動産は「実際に売れる価格(時価)」ではなく、税法独自のルールで評価されます。

■ なぜ実際の価格と違うのか?
公平性と計算の統一のためです。
もし時価で評価すると、
・人によって査定額がバラバラ
・不動産会社によって価格が違う
・申告のたびに争いになる

そこで国は、誰が計算しても同じになる基準を作りました。
それが相続税評価額です。

■ 不動産の評価方法(基本)

不動産は大きく2つに分けて評価します。
① 土地
② 建物
それぞれ別々に計算します。

■ 土地の評価
土地は主に2つの方法があります。

① 路線価方式(市街地)
道路に面している土地は、その道路に付けられた価格(路線価)を使います。

計算式
簡単に言うと 路線価 × 面積 です。

【例】
・路線価:20万円/㎡
・面積:100㎡

20万円 × 100㎡ = 2,000万円

しかし実際の売買価格は3,000万円というケースも普通にあります。
なぜ差が出るのか?
路線価は時価の約80%程度に設定されているためです。

② 倍率方式(郊外・地方)

路線価がない地域では、 固定資産税評価額 × 倍率 で計算します。

■ 建物の評価
建物はシンプルです。

【例】
・購入価格:2,500万円
・評価額:1,500万円

 築年数が経つほど評価は下がります。

■ 具体例で比較
【ケース】
・土地(時価):3,000万円
・建物(時価):2,000万円
合計:5,000万円(実際の価値)

【相続税評価】
・土地:2,400万円(路線価)
・建物:1,500万円
合計:3,900万円

1,100万円もの差が出る

さらに差が広がるケース

貸している不動産(アパートなど)
→借家権・借地権の影響で評価減

小規模宅地の特例
→最大80%減額

(例)
2,000万円 → 400万円

■ 注意点
「買った価格」では評価しない
「売れる価格」でもない
あくまで税法上の価格
つまり不動産は、税金上は安く評価されやすい資産です。

■ 実務でのポイント
現金はそのまま課税(1億円 → 1億円)
不動産は圧縮される(1億円 → 7,000万円など)
そのため現金を不動産に変えると相続税が下がるという対策がよく使われます。

■ まとめ
相続税評価で不動産は、時価ではなく税法上の評価額で計算される

そして
・路線価で評価(約80%)
・建物はさらに低くなる
・特例で大幅に下がる
結果として、実際の価値よりかなり低く評価されることが多い

次回は、「小規模宅地の特例」について、具体例をあげて解説します。