【成年後見シリーズ第4回】身寄りが少ない高齢者の備え ― 任意後見という選択
事例
Eさん(82歳)は、長年一人暮らしをしています。
配偶者はすでに亡くなり、子どももいません。
兄弟姉妹はいますが、遠方に住んでおり、
普段の生活で頼ることはほとんどありません。
これまで元気に生活してきましたが、最近、近所の知人が認知症になり、
銀行手続きや介護施設の契約ができなくなったという話を聞きました。
その知人は身寄りが少なかったため、
家庭裁判所によって専門職の成年後見人が選ばれたそうです。
その話を聞いたEさんは、次のような不安を感じるようになりました。
「自分も将来、判断できなくなったらどうなるのだろうか」
「身近に頼れる家族がいないので、手続きをしてくれる人がいないのではないか」
特に気になっているのは、
・銀行の手続き
・介護サービスの契約
・施設入所の手続き
・自宅の管理
などです。
問題になりやすいポイント
高齢になり、判断能力が低下してしまうと、
・銀行の手続き
・不動産の管理
・介護サービスの契約
・施設入所契約
などを自分で行うことが難しくなる場合があります。
こうした手続きは、原則として
本人が内容を理解して契約することが必要です。
もし判断能力が低下してしまうと、
家庭裁判所に申し立てをして
成年後見制度(法定後見)を利用することになります。
しかし、法定後見では
・家庭裁判所が後見人を選ぶ
・自分のよく知らない人が後見人になる
ことが考えられます。
行政書士としての提案
このような場合には、
任意後見契約をあらかじめ結んでおく方法があります。
任意後見とは、
将来判断能力が低下したときに備えて、
自分で後見人を決めておく制度です。
例えば、
・信頼できる親族
・長年付き合いのある知人
・専門職
などを任意後見人として契約しておくことができます。
こうしておけば、将来判断能力が低下したときに、
任意後見人が
・銀行手続き
・介護サービスの契約
・施設入所の手続き
・生活に必要な契約
などを本人に代わって行うことができるようになります。
自分が元気なうちに後見人を決めておくことで、
将来の不安を減らすことにつながります。
なぜ家族信託ではなく任意後見なのか
家族信託は、財産の管理を中心とした制度です。
しかし、身寄りが少ない高齢者の場合、
・介護サービスの契約
・施設入所契約
・役所手続き
・生活に関するさまざまな契約
など、生活全体を支えるサポートが必要になることがあります。
こうした契約を行うことができるのは、
基本的には成年後見人(任意後見人を含む)です。
そのため、
・将来の生活全体のサポートを考えたい
・信頼できる人に手続きを任せたい
という場合には、
任意後見制度が適しているケースが多いといえます。
まとめ
身寄りが少ない高齢者の場合、
将来の手続きについて不安を感じることもあると思います。
任意後見契約を利用することで、
・自分で後見人を決めておくことができる
・判断能力が低下したときに備えることができる
という安心につながります。
元気なうちに準備をしておくことが、
将来の生活を守る大切な備えになります。
