【親なきあと対策 第1回】「親なきあと問題」とは何か ~親が元気な今だからこそ考えたい、大切な備え~
「親なきあと問題」という言葉を耳にしたことはありますか。
これは、障害のあるお子さんを長年支えてきた親御さんが亡くなったり、親御さんが高齢となり十分な支援ができなくなったりした後に、そのお子さんの生活や将来を誰がどのように支えていくのかという問題です。
近年では、障害のあるお子さんをもつ親御さんの高齢化が進む中で、「親なきあと問題」は身近な課題となっています。
「親なきあと」は、親が亡くなった後だけではありません
「親なきあと」と聞くと、多くの方は「親が亡くなった後のこと」と考えがちです。
しかし、実際にはそうではありません。
例えば、
・親が80歳を超え、体力が落ちてきた
・病気や入院でこれまでのように支援できなくなった
・認知症になり、お金の管理や手続きができなくなった
・車の運転ができなくなり、病院や施設への送迎が難しくなった
このように、親御さんがご存命でも、これまでどおりお子さんを支えることが難しくなる場面は少なくありません。
つまり、「親なきあと問題」は、親が亡くなった時から始まるのではなく、親御さんの高齢化や体調の変化によって、すでに始まっている場合もあるのです。
親が元気だからこそできる準備があります
多くの親御さんは、
「まだ元気だから大丈夫」
「もう少し先のことだから、その時に考えればいい」
と思われるかもしれません。
しかし、将来の準備は、親御さんが元気で判断力のある今だからこそできることがたくさんあります。
例えば、
・財産をどのように残すか考える
・遺言書を作成する
・信頼できる家族と話し合う
・お子さんに必要な情報を整理する
・福祉サービスの利用状況をまとめておく
・「親なきあとノート」を作成する
これらは、突然の病気や事故が起きてからでは、十分に準備できないこともあります。
だからこそ、「まだ早い」と思える時期から少しずつ始めることが、ご本人にもご家族にも大きな安心につながります。
親御さんが抱える不安
「私がいなくなったら、この子は生活していけるだろうか。」
「兄弟姉妹に負担をかけたくない。」「お金の管理は誰がするのだろう。」
「福祉サービスを継続して利用できるだろうか。」
「通院や入院の手続きはどうなるのだろう。」
こうした不安を抱えているのは、決して特別なことではありません。
多くの親御さんが同じような悩みを抱えながらも、「何から始めればよいのかわからない」という状況にあります。
「親なきあと問題」は、一つの方法だけでは解決できません
「親なきあと問題」には、一つの正解があるわけではありません。
ご家庭によって、
・お子さんの障害の状況
・家族構成
・財産の内容
・利用している福祉サービス
・ご本人の希望
はそれぞれ異なります。
そのため、ご家庭に合った方法を考えることが大切です。
場合によっては、遺言書の作成が適していることもありますし、成年後見制度や家族信託、生命保険などを組み合わせて準備することが望ましいケースもあります。
まずは「知ること」から始めましょう
「親なきあと問題」は、決して怖い話ではありません。
大切なのは、「まだ先のこと」と考えて後回しにするのではなく、元気な今のうちから少しずつ準備を始めることです。
早めに備えることで、ご本人もご家族も安心して毎日を過ごすことができます。
この連載では、「親なきあと問題」について、できるだけわかりやすく解説し、具体的な対策や制度についても順番にご紹介していきます。
将来への不安を少しでも安心に変えるきっかけとして、お読みいただければ幸いです。
次回予告
第2回「親が元気なうちに準備を始める理由」
「まだ元気だから大丈夫」と思っていませんか。
実は、元気な今だからこそできる準備が数多くあります。
次回は、なぜ早めの準備が大切なのかを具体例を交えながらわかりやすくご紹介します。

