【成年後見シリーズ第6回】見守り契約と任意後見の組み合わせ ― 将来の安心のために
事例
Fさん(79歳)は、一人暮らしをしています。
子どもはいますが、遠方に住んでおり、普段はなかなか会うことができません。
現在は元気に生活していますが、年齢を重ねるにつれて、
次のような不安を感じるようになりました。
「もし体調を崩したとき、すぐに気づいてくれる人がいるだろうか」
「将来、認知症になった場合にはどうなるのだろうか」
特に心配しているのは、
・自分の体調や生活の変化
・判断能力が低下した場合の手続き
・介護や施設入所の契約
などです。
Fさんは将来の備えとして任意後見について聞いたことがありますが、
「まだ元気なうちに後見人を決めるのは少し早いのではないか」
とも感じています。
問題になりやすいポイント
任意後見契約は、本人の判断能力が低下したときに開始される制度です。
つまり、
契約を結んだだけでは、
すぐに任意後見人が活動を始めるわけではありません。
実際に任意後見が開始されるのは、
・本人の判断能力が低下したとき
・家庭裁判所で任意後見監督人が選ばれたとき
です。
そのため、
「まだ元気なうちの生活をどう支えるのか」
という点については、
任意後見だけでは十分とは言えない場合があります。
行政書士としての提案
このような場合には、見守り契約と任意後見契約を組み合わせる方法があります。
見守り契約とは、
定期的に連絡を取ったり、訪問したりすることで、
本人の生活状況を確認する契約です。
例えば、
・定期的な電話連絡
・定期的な訪問
・生活状況の確認
などを行うことで、体調の変化や生活の様子を把握することができます。
そして、将来判断能力が低下した場合には、
あらかじめ結んでおいた任意後見契約に基づいて、
任意後見人が
・銀行手続き
・介護サービスの契約
・施設入所の手続き
などを行うことになります。
このように、
元気なうちの見守り → 判断能力低下後の任意後見
という形で、
段階的なサポートを行うことができます。
なぜ家族信託ではなく任意後見なのか
家族信託は、財産の管理を中心とした制度です。
一方、今回のようなケースでは、
・日常生活の見守り
・介護サービスの契約
・施設入所契約
・生活に関するさまざまな手続き
など、生活全体を支える仕組みが必要になります。
見守り契約と任意後見契約を組み合わせることで、
・元気なうちの生活の確認
・将来の契約手続きへの備え
の両方を準備することができます。
そのため、
生活全体のサポートを考える場合には、
任意後見を中心とした仕組みが適しているケースが多いといえます。
まとめ
任意後見契約は、将来判断能力が低下した場合に備える制度です。
しかし、元気なうちの生活を支える仕組みとしては、
見守り契約と組み合わせることが有効な場合があります。
このように、
・見守り契約
・任意後見契約
を組み合わせることで、
将来に向けた安心の仕組みを作ることができます。
