【相続・遺言 第25回】相続税の計算方法について
相続税の計算は少し複雑ですが、流れはシンプルです。
■ 計算の流れ
① 財産の総額を出す
② 基礎控除を引く
③ 法定相続分で分けた前提で税額を計算
④ 各相続人に按分する
■ 具体例で考えよう
【前提】
・相続人:配偶者+子2人(計3人)
・遺産総額:8,000万円
① 財産の総額を出す
預金や不動産など、すべての財産を合計します。
今回は8,000万円とします
② 基礎控除を引く
基礎控除の計算式は
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
今回は3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円 です
課税対象となる金額は
8,000万円 − 4,800万円 = 3,200万円 です
③ 法定相続分で分けた前提」で税額税率を計算
ここが一番の誤解ポイントです。
いきなり3,200万円に税率をかけるのではなく、「法定相続分で分けた前提」で税額を計算します。
【法定相続分】
・配偶者:1/2 → 1,600万円
・子:各1/4 → 800万円ずつ
それぞれに税率を適用します。
参考
■ 相続税の税率(速算表)
| 法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
| ~1,000万円 | 10% | 0円 |
| ~3,000万円 | 15% | 50万円 |
| ~5,000万円 | 20% | 200万円 |
| ~1億円 | 30% | 700万円 |
| ~2億円 | 40% | 1,700万円 |
| ~3億円 | 45% | 2,700万円 |
| ~6億円 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
■ 計算イメージ(簡単)
配偶者(1,600万円)
1,600万円 × 15% - 50万円
= 240万円 - 50万円
= 190万円
子(800万円)
800万円 × 10% = 80万円
子2人なので
80万円 × 2 = 160万円
合計
190万円 + 160万円 = 350万円
④ 実際の分け方で按分
この350万円を、実際に取得した割合で分けます。
【例1】法定どおりに分けた場合
→ 配偶者・子それぞれで負担
【例2】配偶者が多く取得した場合
→ 配偶者の税額が増えるが、配偶者の税額軽減が使えるため実際には大きく減額(または0円)になることも多い
■ 税率の特徴
相続税は「累進課税」です。
・1,000万円以下:10%
・3,000万円以下:15%
・5,000万円以下:20%
と、金額が大きくなるほど税率が上がります。
■ 実務で重要なポイント
分け方によって税額が変わる
→ 誰がどれだけ取るかで結果が変わる
配偶者の税額軽減が非常に大きい
→ 配偶者中心の分割は税額を抑えやすい
特例の影響が大きい
→ 小規模宅地の特例などで数千万円単位で変わることもある
■ まとめ
相続税は単純に見えて、
「いったん法定相続分で計算する」
「その後、実際の分け方で調整する」
という二段階構造になっています。
そして最も重要なのは、誰がどの財産を取得するかで税額が変わることです。
次回は、「相続税評価(特に不動産)」について、
なぜ評価額が実際の価格と違うのかも含めて解説します。
