成年後見制度を利用する場合、費用はどれくらいかかりますか。

費用はケースによって違いますが、おおよその目安は以下の通りです。

  1. 「基本報酬」のめやす(専門職が後見人等の場合)
    以下は、専門職(例えば弁護士・司法書士・社会福祉士など)が後見人等に選ばれた場合に、過去の審判例等を踏まえて東京家庭裁判所が示している目安です。

・管理財産額が 1,000万円以下 の場合:月額おおよそ 2万円

・管理財産額が 1,000万円を超え、5,000万円以下 の場合:月額おおよそ 3万円~4万円

・管理財産額が 5,000万円超 の場合:月額おおよそ 5万円~6万円

「管理財産額」とは、預貯金・有価証券などの流動資産の合計額です。これが大きくなるほど「財産管理事務が複雑・困難になる」として報酬の目安も上がるとされています。

  1. 監督人(後見監督人・保佐監督人・補助監督人・任意後見監督人)の報酬のめやす
    監督人が、後見人等の業務を監督する役割を担った場合の目安も示されています。

・管理財産額が 5,000万円以下 の場合:月額おおよそ 1万円~2万円

・管理財産額が 5,000万円超 の場合:月額おおよそ 2万5,000円~3万円

  1. 付加報酬
    基本報酬に加えて「付加報酬」が認められることがあります。例えば、被後見人の身上監護(生活・身の回りの管理)において特に困難な事情があった場合、基本報酬額の 50%以内 を目安に相当額を付加するという目安が示されています。
    また、例えば後見人が「訴訟を代理した」「遺産分割を調停した」など、通常の業務を超える特別な行為を行ったときにも、相当額の付加報酬がつくことがあります。
  2. 親族が後見人となっている場合
    専門職以外、例えば配偶者・子ども・兄弟などの親族が後見人に選ばれている場合もありますが、裁判所の資料では「申立てがないことが多い」「申立てがあったときでもめやすを参考に、事情に応じて減額されることがあります」と記載があります。

注意すべき点

・上記はあくまで「めやす」であって、 必ずこの金額になるわけではありません。裁判所は各事案の具体的事情を考慮して金額を決めます。

・報酬を受け取るためには、後見人等が家庭裁判所に「報酬付与の申立て」をし、裁判所が「審判」で承認する必要があります。無断で財産から報酬を受けることはできません。

・財産管理額(流動資産)が報酬決定の目安の一つとなっていますが、それ以外に「事務内容の複雑さ」「身上監護の困難度」「作業量」なども考慮されます。 ・本人の財産が少ない場合など、報酬の支払いが難しいケースもあり、自治体により報酬助成の制度がある地域もあります。